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デコロニッシングフィルム とスクリーン研究

Japanese translation by Jennifer Coates and Nozomi Uematsu

映像学が誕生し半世紀が経った現在なお、映画史とスクリーン研究の分野における歴史的及び理論的な批評的枠組みのほとんどが、いまだに欧州中心で行われている。「ワールド・シネマ」及び「トランスナショナル・シネマ」分野における研究者らは、その研究分野の正典(キャノン)と批判的な枠組みの拡大を試みたものの、未だに重要な問題と課題が残されているのが現状である。有色人種、特にアフリカ出身の監督に制作された映画や研究は、排除されとは行かずとも、しばしば周縁化されてきた。この周縁化の問題は、21世紀の映画及びスクリーン研究を再構想するにあたり有益である文化的な遣り取りを妨げているといえる。例えば、それは映画作成における技術的な手段のさらなるアクセスの拡大、その技術を様々なスクリーンに流通させるといったような遣り取りである。21世紀の現在、このように精力的且つ急速に本プロジェクトの提起する概念「スクリーン・ワールド」が発達しているといえる。本プロジェクトでは、このような周縁化された地域での映画を中心とした「スクリーン・ワールド」を考察する。特には、ナイジェリアとエチオピアといったアフリカで制作された映画に注目し、そのテクスト形態としての映画及び映画産業の構造といった視点から新しい「スクリーン・ワールド」を構想する予定である。

さらに、「スクリーン・ワールド」という概念をよりグローバルに捉え、特にはアフリカとアジア間を示すグローバルサウスにおける「スクリーン・ワールド」との比較研究についても詳説し、それらの類似点や相違点を整理し、並行して研究を行う。

本プロジェクトチームは、学会や出版物といった学術的な方法だけでなく、クリエイティブ且つ積極的な政治活動(アクティビズム)としての方法 ―例えば視聴覚批判や映画制作などといった先鋭的な研究方法― を通して、映画及びスクリーン研究における排除の問題に応答していく。さらには映画とスクリーン研究の教育の教材における植民地主義にも取り組む予定である。つまり、脱植民地化するようなカリキュラム及びシラバスの作成や教育方法を開発し、より包括的且つ「グローバル」な表象を含める教材づくりを産出する。理論的なレベルにおいては、世界を通して多様な文脈を我々が生きる現在において、視聴覚ナラティブの複雑性とその制作且つ流通を調査するにあたり「スクリーン・ワールド」(または他の関連する概念)といった概念が「ワールド・シネマ」や「トランスナショナル・シネマ」よりも的確且つ重要であることを検討する。

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